
「ピタゴラスの定理」は本当にピタゴラスが発見したの?

直角三角形の3つの辺の長さの関係を表す「三平方の定理」って「ピタゴラスの定理」とも呼ばれるよね。名前がついているぐらいだから、ピタゴラスっていう人が発見したのかな?ピタゴラスって名前はよく聞くけど、いつの時代のどんな人なんだろう…。

Q. ピタゴラスの定理の発見者は?
「三平方の定理」は、直角三角形の3つの辺の長さの関係を表した、数学の世界で最も有名なルールのひとつです。
三平方の定理(ピタゴラスの定理)とは?

直角三角形において、直角をはさむ2つの辺の長さを a, b、一番長い辺(斜辺)の長さをcとすると、次の関係が成り立ちます。
a2+ b2 = c2
この美しい関係は、ピタゴラスによって発見されたのでしょうか?
A. この関係はピタゴラス以前から知られていました
実は、ピタゴラスが生まれるはるか昔から、この関係は世界各地で知られていました。
・古代バビロニア:紀元前1800年頃の粘土板に、直角三角形の辺の長さの関係を示す数表が残されています。そこからは、実用的な目的のために、この関係がすでに使われていたことが読み取れます。
・古代エジプト:土地の測量や建築の際に、直角を作るための工夫が行われていたことが知られています。これらは、定理として厳密に証明されたものではありませんが、経験的な知識として同じ関係が理解されていた可能性を示しています。
つまり、「ピタゴラスの定理」に対応する事実そのものは、ピタゴラス以前から人々に知られていたのです。

「ピタゴラスの定理」って名前だから、てっきりピタゴラスが最初に発見したんだと思っていたけど、実はもっと前の人たちも同じ関係に気づいていたんだね。それならピタゴラスはいったい何をした人なんだろう?

ピタゴラスは何をした人なの?
ピタゴラスは、紀元前6世紀ごろに活動したとされる古代ギリシアの人物です。ただし、彼についてはっきり分かっていることはあまり多くありません。というのもピタゴラス本人が書いた本は一つも残っておらず、その生涯は弟子や後世の人々によって語り伝えられてきたものだからです。
ピタゴラスを「数学者」として思い浮かべることが多いかもしれません。しかし実際のピタゴラスは、現代的な意味での数学者というよりも、思想家であり、宗教的な指導者に近い存在だったと考えられています。
ピタゴラスは自らの考えを共有するために「ピタゴラス教団」と呼ばれる集団を作りました。そこでは、数学の研究だけでなく、生活規律や信仰、倫理までもが重視されていました。
この教団の中心的な考え方の一つが、「万物は数でできている」という思想です。音楽の音程、天体の動き、自然界の調和――それらはすべて「数」によって説明できると考えられていたのです。
このようにピタゴラスは、数を単なる計算の道具ではなく、世界の本質を表すものとして捉えていました。その姿は現代の数学者というより、哲学者や宗教的思想家に近かったのかもしれません。

ピタゴラスは数を通して“世界のしくみ”を理解しようとしていたんだ!数学と哲学がつながっている感じがいかにも古代ギリシアらしくてかっこいいね。

ピタゴラスの定理に見る「ギリシア数学の論理的な説明」
古代エジプトやバビロニアでは、いわゆるピタゴラスの定理にあたる関係は、土地の測量や建築のための、実用的な知識として使われていました。「こうすると、うまく直角が作れる」――そんな経験にもとづいた知恵だったのです。
それに対して、ピタゴラスが活躍した古代ギリシアでは、少し違った考え方が生まれていきます。人々は次第に、「なぜそうなるのか」「本当にいつも成り立つのか」を言葉と論理で説明しようとするようになりました。
たとえ定理そのものを最初に見つけたのがピタゴラス本人ではなかったとしても、数や図形の性質を整理し、理由を筋道立てて示す――
「証明」という考え方を大切にしたことは、ギリシア数学の大きな特徴です。
ピタゴラスとその教団は、このような論理的な説明を重んじる姿勢を広めた、初期の重要な存在だったと考えられています。
その功績こそが、今日までこの関係が「ピタゴラスの定理」と呼ばれ続けている理由の一つかもしれません。

ピタゴラスは「定理を作った人」というより、「数とは何か」を真剣に考えた人物じゃった。数や図形の性質っを整理し、理由を筋道立てて示す…その姿勢こそが、ピタゴラスの名を今も定理に残しておるのかもしれんのう。
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