
紙を100回折ると厚さはどうなる?数学の「無限」と現実の壁

「紙を半分に折る作業を100回繰り返すと、とんでもない厚さになる」って聞いたことがあるけど…富士山くらいの高さかな?

Q.紙を100回折るとどれぐらいの厚さになる?
紙を半分に折ります。そしてまた半分に、さらに半分に……と繰り返します。 これを100回繰り返すと、その厚さはどれぐらいになるのでしょうか?
A. なんと「宇宙の果て」までの距離(約4.4 × 1026メートル)に匹敵します。
一枚の大きな紙があるとします。厚さは一般的なコピー用紙と同じ、0.1ミリとします。
これを半分に折る。
そしてまた半分に折る。
さらに半分に……と繰り返します。

100回折るというのは……2の100乗。これは「10の30乗」と大体同じ。10の後に0が30個並ぶ数です。
ここに紙の厚さ 0.1ミリ(10-4メートル) をかけると……
答えは「10の26乗メートル」。 これは富士山どころか、天の川銀河すらも余裕で突き抜け、現在人間が観測できる「宇宙の果て」までの距離(約4.4 × 1026メートル)に匹敵するのです。

うわわっ、宇宙の果て!? たった100回でそんなことになっちゃうの? 数学の『倍々ゲーム』って、僕たちの直感を軽々と超えていっちゃうんだね。

あっと言う間にミクロの世界!?数学の無限と現実の世界
先ほどは紙を折った時の「厚さ」を考えましたが、次は「面積」を考えてみましょう。
紙を半分に折るたびに面積は半分になります。これを繰り返すとどうなるでしょうか?
たとえばA4サイズのコピー用紙(約0.06平方メートル)を使うとします。
20回折ると、面積は約100万分の1になります。
30回なら約10億分の1。
100回を超えると――面積は、原子1個(約10⁻¹⁰メートル)の大きさよりもはるかに小さくなります。
しかしこれはあくまで理論上の話。現実の世界では、コピー用紙を折るのはせいぜい8回くらいが物理的な限界です。
一方、数学の世界には「限界」がありません。100回でも、1億回でも、永遠に折り続けることができるのです。物理的な「現実」を追い越して、どこまでも続けられる、それこそが、数学における「無限」なのです。

数学の世界って、私たちが住んでいるこの世界のルールを超えて、その先の景色を見せてくれる場所なんだね。

古代ギリシアの考え方 —— 「無限」はどこにある?
古代ギリシアの人々にとっての「無限」は、現代の私たちがイメージする「無限」とは少し違う意味を持っていました。
現代の数学では、完結した存在としての「無限」を認めています。しかし古代ギリシアの人たちとっては、実際に無限大という数があるということではなく、「どんな数を言っても、それより大きい数を考えられる」ということでした。
彼らは「自然数は無限個存在する」ということを次のように示しました。
・まず、「自然数が有限個しか存在しない(数に限りがある)」と仮定します。
・すると自然数の中で最大のものが存在します。これを n としましょう。
・その n に1を加えた「n+1」は n より大きな自然数となります。
・これは 「n が最大の自然数である」と仮定したことに矛盾します。
よって「自然数に限りがある」という最初の仮定が間違っており、自然数は無限に存在すると言えます。
このように、いったん反対のことを仮定し、そこから矛盾を導くことで真実を示す方法を、数学では背理法と呼びます。
古代ギリシアの数学では、とても重要な考え方でした。

どんな大きな数にも「次」がある…古代の人々も「どこまでも続く数の列」というものに、不思議な魅力を感じてきたのじゃろう。「無限をどう扱うか」という問題は2000年以上の長きに渡り、人類が挑み続けてきた難問なんじゃよ。
もっと深く知りたい方へ

「無限」に対する考え方は、数学の歴史とともに変化してきました。「無限をどう扱うか」という難問に、人類はどうやって挑んできたのでしょうか。
教科書では語られない、数と無限をめぐるドラマの続きは、ぜひこちらの電子書籍で体験してみてください。電子書籍 ポゥじいとめぐる「数」の旅 『実数とは何か? 有限と無限をつなぐ数の世界』
ポゥじいたちと一緒に、知的な冒険の旅へ出かけてみませんか?
