
円の面積はどうして πr²?「無限に近づける数学」の秘密

円の面積って「半径×半径×3.14」で計算するよね。でも、これってどうしてこんな式になるんだろう?丸い形の面積ってどうやって考えればいいのかな?

Q.円の面積ってどうやって考えばいいの?
長方形の面積は「縦 × 横」で求めることができます。では、曲線でできている円の面積はどうやって考えればよいのでしょうか?
A.円を細かく切って並べ変えると長方形に近い形になります。
円を細かく切って並べ替えてみましょう。
1.まずは4等分:円を4つの扇形に切って、交互に並べてみます。
2.次は8等分:さらに細かくして並べてみましょう。さっきよりも少し、平らな形に近づいてきました。
3.16等分、32等分……と増やしていくと?:分割する数をどんどん増やしていくと、上下のデコボコが消えて「長方形」に近づいていきます。

『究極に細かく』切って並び替える…この操作を無限に続けていくと、円は完璧な長方形に近づいていきます。
この長方形の縦の長さは円の半径、横の長さは円周の半分の長さです。
よって、長方形の面積 = 半径 × (円周 / 2) = 半径 × 半径 × π
となります。この長方形は円を細かく切って並び替えたものなので、円の面積と同じです。
ここで重要なのは、「どんどん細かく分けていく操作」を無限に続けるという発想です。実はこの考え方は、2000年以上前の古代ギリシアの数学者たちがすでに使っていた方法でした。

なるほど……! 計算が難しい「曲がった形」も、「細かく切ったパーツ」を集めることで攻略しちゃうんだ。

古代ギリシアの数学者アルキメデスが考えた「取り尽くし法」
「どんどん細かくして近づけていく」という方法を、古代ギリシアの数学者アルキメデスは「取り尽くし法」と呼ばれる方法で使いました。彼が考えていた問題は、たとえばこんなものです。
・円周率 π はどれくらい?
・放物線のような曲線に囲まれた図形の面積は?
アルキメデスは、次のように考えました。
1.円の中に多角形を描く
2.角の数をどんどん増やしていく(6角形→12角形→24角形…)
3.多角形と円の間の「すき間」がどんどん小さくなっていく
例えば6角形 → 12角形 → 24角形 → 48角形……と増やしていくと、多角形は円に どんどん近づいていきます。
この操作をどこまでも続けると、多角形は「円と区別できないほど近づく」と考えたのです。
つまり操作を無限に繰り返していけば求めたい値に到達できるという考え方です。これが「取り尽くし法」です。

多角形を増やして、すき間をギリギリまで削っていくアルキメデスさんの情熱……かっこいいな。

無限の足し算 :どんどん小さくなっていく数列を足すと…?
「1に、1/2を足して、さらにその半分を足して……」 このように、次々と半分にした数を無限に足し続けていくと、答えは一体いくらになるでしょうか?
この「無限に続く数の合計が、ある決まった値に近づく」という現象(今でいう極限に近い考え方)を、アルキメデスは次のように考えていました。

いま、1辺の長さが「1」の正方形が2つ並んでいると想像してください。合計の面積は「2」ですね。
まず、1つ目の正方形をそのまま置きます。(合計:1)
次に、2つ目の正方形を「半分」にして足します。(合計:1 + 1/2)
さらに、残った半分の「また半分」を足します。(合計:1 + 1/2 + 1/4)
そのまた半分の「半分」を……。
どんなに足し続けても、2つ目の正方形の中にある「残りのスペース」を半分ずつ埋めていくだけで、決して「2」を超えることはありません。そして無限に繰り返せば、その隙間は完全になくなり、面積は「2」に到達するのです。

2000年以上も前にアルキメデスが考えていた、この『取り尽くし法』こそが、のちにニュートンたちが生み出す『微積分』の大きな種になったんじゃ。数学とは、こうした天才たちの執念のバトンでつながっておるんじゃな。
もっと深く知りたい方へ

今回ご紹介したアルキメデスの「取り尽くし法」は、数学が「無限」という考え方を扱うための重要な入り口の一つです。
古代ギリシアの数学者たちは、まだ「極限」や「実数」という言葉を持たない時代に、無限に近づく操作を使って、円や曲線の面積を求めようとしていました。
では、その後の数学はどのようにして「無限」を正確に扱えるようになったのでしょうか?その物語は、実数という概念の誕生へと続いていきます。
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