HOME > すうがく発見ノート > 宇宙の果て

宇宙の果てに壁はある?数学が解き明かす『無限』

宇宙の果てに壁はある?数学が解き明かす「無限」

宇宙ってどこまで続いているのかな? ずっと進んでいったら、いつか『ここで行き止まり!』っていう壁にぶつかるのかな?それとも、どこまでも続いているの?昔の人はどう考えていたんだろう。

Q.昔の人は宇宙の果てに「壁」があると考えていたの?

望遠鏡などがなかった時代。昔の人々にとって宇宙はどのような存在だったのでしょうか?宇宙の果てには「壁」があると考えられていたのでしょうか。


A. 宇宙は巨大なドーム「天球」に囲まれていると信じられていました。

古代ギリシアの人々は、宇宙をとても美しく整ったものだと考えていました。地球は宇宙の中心にあり、そのまわりを月・太陽・惑星が取り囲んでいる。そして一番外側には、すべての星が貼り付いた巨大な球体――天球がある。

この考え方は、アリストテレスプトレマイオスによって体系化され、1000年以上にわたって人々に信じられていました。

プトレマイオスは2世紀頃にエジプト・アレクサンドリアで活躍した学者です。この宇宙のしくみを『アルマゲスト』という本にまとめています。この本では、惑星の動きを説明するために、円を組み合わせた精密なモデルが作られました。たとえば惑星は、単純に円を描くのではなく、「円の上をさらに円で動く(周転円)」という複雑な仕組みで説明されていました。こうした工夫によって、実際の観測とよく一致する宇宙モデルが作られていたのです。

プトレマイオス説

そしてその宇宙の一番外側には、すべてを包み込む「天球」という壁がある――そう考えられていたのです。つまり宇宙は、有限で閉じた構造をもつ「箱庭」のようなものだったのです。

宇宙が大きなスノードームみたいになってたってこと? それなら、壁の向こう側はどうなってるのか気になっちゃうよ……!

観測が変えた宇宙観:ガリレオの天体観測と近代科学の夜明け

この「宇宙には壁がある」という考えを揺るがせたのが、観測でした。17世紀初め、ガリレオ・ガリレイは改良した望遠鏡を空に向けます。

彼が見たのは、これまでの常識を覆す光景でした。
・月には山や谷がある
・太陽には黒点がある
・木星のまわりを回る衛星がある
・天の川は無数の星の集まりである

ガリレオはこれらの観測結果を『星界の報告』として発表しました。
観測によって、宇宙は想像の世界から事実に基づく世界へと変わり始めたのです。

望遠鏡で見てみたら、思ってた宇宙と全然ちがったんだね!“ちゃんと観測する”って、こんなに世界を変えるんだ…。

数学が壊した「宇宙の壁」と無限の登場

観測だけでは、宇宙の仕組みは説明できません。この「箱庭のような宇宙観」を根底から覆したのが、数学の力でした。

アイザック・ニュートンは「引力」という考え方を数式で表しました。その結果わかったことは――惑星は天球に貼り付いているのではなく、重力という力に引かれながら、楕円軌道を描いて運動しているということでした。

宇宙を支える「固い殻」は存在しない。天体は、広大な空間の中を力の法則に従って動いているだけなのです。

ここで重要な変化が起こります。宇宙はもはや「閉じた箱」ではなく、どこまでも広がっていく可能性をもつ空間として考えられるようになったのです。宇宙を支えていた「天球」という壁は、数式の前に静かに崩れていきました。
こうして人々の世界観は、「限りある箱庭」から「果てしなく広がる宇宙」へと変わっていったのです。

しかし、ここで話は終わりません。現代の物理学では、宇宙についてさらに新しい考え方が登場しています。アルベルト・アインシュタインの相対性理論によると、宇宙は単純に「無限に広がる空間」とは限らず、有限でありながら端を持たない構造である可能性も考えられています。

宇宙の姿は、時代ごとに大きく変わってきた。「有限の箱庭」から「無限の広がり」へ、そして今では「新たな有限の可能性を秘めた宇宙」へ。人類はずっと、「果て」とは何かを問い続けてきたのじゃ。その問いに向き合う中で生まれたのが、「無限」という考え方――そして、それを数として扱うための『実数』の世界なのじゃよ。

もっと深く知りたい方へ

実数とは何か? 有限と無限をつなぐ数の世界 ポゥじいとめぐる「数」の旅

「無限」という正体のつかめないものを、人類はどうやって理解し、数で扱えるようにしてきたのでしょうか。

宇宙の広がりを本気で考え始めたとき、数学もまた大きく進化しました。教科書では語られない、数と無限をめぐる知のドラマの続きを――

ポゥじいとめぐる「数」の旅』シリーズ第3巻!
実数とは何か? 有限と無限をつなぐ数の世界』
で、ぜひ体験してみてください。