
正多面体は5つしかないの?「プラトン立体」の秘密

正三角形や正方形って、どこまでも角を増やしていけるよね。だったら、それで作る『正多面体』も、正六面体、正七面体……って、いくらでも種類があるんじゃないの?えっ、世界に5つしかないって本当なのかな?

Q. 正多面体は5つしか存在しないの?
「正多角形」なら、正五角形、正六角形、正百角形……と、角の数を増やすことで無限に種類を作ることができます。
それなら、すべての面が同じ正多角形でできている「正多面体」も、同じようにいくらでも種類がありそうに思えませんか?実際のところ、この世界には一体何種類の正多面体があるのでしょうか。
A. 正多面体はたったの「5種類」しか存在しません。
どんなに角を増やそうとしても、どんなに工夫して組み立てようとしても、「正多面体」は、この宇宙に5つだけなのです。正多面体とは、次の条件を満たす立体のことです。
・すべての面が同じ正多角形で構成されていること
・すべての頂点において、同じ数の面が集まっていること
この条件を満たす立体は、正四面体、正六面体(立方体)、正八面体、正十二面体、正二十面体の5つです。

古代ギリシアの数学者ユークリッドは、その著書『原論』の最後を、この「正多面体は5つしかない」という証明で締めくくっています。
なぜ6つ目は作れないのか? その理由は、次に紹介する「空間のルール」に隠されています。

たくさん作れそうなのに、「5つだけ」って決まっているなんて……。なんだか、選ばれた特別な形って感じがするね!

正多面体が5つしかないことの証明
「正多面体は5 種類しか存在しない」ことを証明しましょう。
一つの頂点のまわりに集まる正多角形が2枚以下の時は空間を囲むことができず、立体になりません。よって、一つの頂点のまわりには3枚以上の正多角形が集まる必要があります。この条件に当てはまる正多面体の面の候補を正三角形、正方形、正五角形、正六角形…と調べていきましょう。
正三角形
まず正三角形を考えてみましょう。正三角形の一つの内角は60°です。正三角形を一つの頂点に6枚集めると60×6=360°となり、平面になってしまいます。つまり立体を作ることができません。よって正三角形の場合、一つの頂点に集まる面の数は3枚、4枚、5枚の時に限られます。それぞれの場合は以下の正多面体ができます。
・1つの頂点に3枚の正三角形が集まる場合:正四面体
・1つの頂点に4枚の正三角形が集まる場合:正八面体
・1つの頂点に5枚の正三角形が集まる場合:正二十面体
正方形
次に正方形を考えてみましょう。正方形の場合は、1つの頂点に集まる面の数は3枚の時だけです。(内角は90°なので4枚集めると360°になります)
・1つの頂点に3枚の正方形が集まる場合:正六面体(立方体)
正五角形
正五角形の場合も、1つの頂点に集まる面の数は3枚の時だけです。(内角は108°なので4枚集めると360°になります)
・1つの頂点に3枚の正五角形が集まる場合:正十二面体
正六角形はどうでしょうか。正六角形の内角は120°なので、一つの頂点に3つ集めると360°になり、平面になってしまい立体を作ることができません。正七角形以上の正多角形の内角は120°より大きくなりますから、一つの頂点に3つの面を集められなくなります。
以上より、正多面体は5種類しかないことが言えるのです。

なるほど!図形を増やしすぎると、ふくらむ余裕がなくなってペタンコになっちゃうんだね。5つしかないのは、空間のスキマを埋めるための『絶妙なバランス』の結果なんだ!

古代ギリシアの哲学者プラトンの考え:宇宙の4大元素
古代ギリシアの哲学者プラトンはこの5つの正多面体に宇宙の4 大元素と、空間そのものを割り当てました。
火は正4 面体、空気は正8 面体、土は正6 面体、水は正20 面体、そしてエーテル(宇宙に充満する神秘的な元素)、あるいは宇宙空間には正12 面体をあてがいました。あくまで哲学的な象徴ですが、形と意味とを結びつける想像力こそが、当時のギリシア思想の粋とも言えます。

プラトンたちは、この5つの形こそが「宇宙を形作る究極のパーツ」だと信じておったんじゃ。「美しい形には、世界を解き明かす鍵がある」と考えた彼らの情熱は、今の科学にも通じるものがあるのう。
たった5つしかない、完成された美しさ。次にサイコロを振る時は、その形に秘められた古代の知恵を思い出してみておくれ。
もっと深く知りたい方へ

「形」の中に宇宙の真理を見出そうとした古代ギリシアの人々。彼らにとって数学は、単なる計算ではなく、世界を読み解くための「鍵」そのものでした。
電子書籍 ポゥじいとめぐる「数」の旅 『古代ギリシアの数1 ー 数学はこうして生まれた』では、今回ご紹介した正多面体の神秘や、古代ギリシアの数学をさらに詳しく解説しています。
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