
STEP1
ピタゴラスの定理と古代ギリシア
直角三角形の三辺の関係を示す 三平方の定理 は、「ピタゴラスの定理」 として知られ、幾何学で最も有名な定理のひとつです。この名前の由来となったピタゴラスとはどのような人物だったのでしょうか。彼が見ていた「数」の世界とはどんなものだったのか?ピタゴラスの活躍した古代ギリシアの世界をのぞいてみましょう。
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ピタゴラスってよく聞くけどすごく昔の人だよね?名前は聞いたことあるけど、何をした人だったっけ?
ピタゴラスの定理は数学で習いました!直角三角形の辺の関係を表す定理ですよね。ピタゴラスは古代ギリシアの人だったような…


そう!ピタゴラスの定理は三平方の定理とも呼ばれていて、とても有名な定理じゃな。まずはピタゴラスの定理を簡単に復習しよう。
ピタゴラスの定理とは
ピタゴラスの定理(三平方の定理)は、直角三角形の性質を表す定理で、幾何学で最も有名な定理の一つです。数学が苦手な人でも、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
「直角をはさんでいる2辺(直角の両側)の長さを2乗して足すと、斜めの辺(斜辺)の長さの2乗と等しくなる」
これを数式で表すと、次のようになります。
a2 + b2 = c2
ここで、
・a と b は直角をはさむ辺(直角三角形の底辺と高さ)
・c は斜辺(直角の向かいの辺)
という関係になります。

歴史的な記録によると、ピタゴラスよりもずっと前から、古代エジプトやバビロニア、インドでも「三平方の定理」にあたる法則が知られていたとされています。例えば、古代バビロニアの粘土板(紀元前1800年頃)には、直角三角形の辺の長さに関する計算例が記されていますし、古代エジプトのロープ測量法(ロープを使って直角を作る方法)も三平方の定理の実用例と考えられています。
ピタゴラスの定理自体はピタゴラスよりもっと前から知られていたんですね。


うむ。ピタゴラスの定理は古代の人々が生活の中で自然に使いこなしてきた法則とも言える。次にピタゴラスが活躍したとされる古代ギリシアについて見てみよう。
ピタゴラスが活躍した古代ギリシア
ピタゴラスが活躍した時代は、古代ギリシアの紀元前6世紀頃とされています。この時代は「アルカイック期」と呼ばれ、古代ギリシアにおける文化や哲学、科学が芽生え始めた重要な時期です。
ギリシア各地には都市国家(ポリス)が栄え、自由な議論や学問が盛んに行われていました。
ピタゴラスが生まれたのはイオニア地方のエーゲ海に浮かぶサモス島といわれています。サモス島は古くからギリシア人が住みつき、ピタゴラスが生まれる頃にはギリシア世界有数のポリスに成長していました。ピタゴラスは、裕福な貿易商の家に生まれたので、あちこち賢者を訪ねて教えを受けることができたと言われています。

紀元前6世紀頃は、日本では縄文時代の終わり〜弥生時代のはじまりにあたります。ピタゴラスの時代はまだ日本では農耕が始まりつつある頃でした。


ピタゴラスが活躍した時代って日本でいうと弥生時代ぐらいだったんだね。そんなに昔の人も直角三角形の性質を知っていたんだね!
古代ギリシアについてはなんとなくわかったけど…ピタゴラスって何をした人なんですか?数学の先生だったの?


ピタゴラスに関しては様々な逸話が語り継がれておる。その一部を紹介しよう。
ピタゴラスとは何をした人?
ピタゴラスは、数には神秘的な力があると信じ、この世界は数によって支配されていると考えていました。
ピタゴラスは「ピタゴラス教団」という集団を組織し、弟子たちとともに学びを深めていました。この教団は、数学や哲学の研究だけでなく、独特の宗教的・倫理的な教えも重んじていたといわれます。古代ギリシアの科学や数学は、まだ現代のような体系化はされていませんでした。ピタゴラス学派によって「数」の重要性が強調され、数学は哲学や宗教とも深く結びついていました。
ピタゴラス教団には数々の逸話が残されています。その一つを紹介しましょう。
ピタゴラス教団は、彼らの発見した数の神秘を秘密にしました。世俗的な世界から宇宙の原理を守るのが自分たちの仕事だと考えていたのです。ところがピタゴラス教団にとんでもない事態が生じます。「正方形の1辺と対角線の比が整数の比では表せない」ことを教団の一人が発見したのです。

これはピタゴラス教団にとっては恐ろしいことでした。「この宇宙、この世界は数を基礎にして作られている」という信念が、今まさに崩れ去ろうとしていたのです。正方形のような自然で完璧な図形に、整数比で表せないような比が潜んでいようとは。あるとき、教団の一人のヒッパソスが秘密を漏らしてしまいます。怒ったピタゴラスは、ヒッパソスを船上から海に投げ入れ溺死させてしまったといいます。

ピタゴラス教団!三平方の定理のイメージとはちょっと違うぞ…。数にとてつもない力があるって信じてたのかなぁ。
ヒッパソスのお話はなんだかちょっと怖いな。数の秘密がそこまで重要だったなんて、今の感覚からすると想像できないけど…。


ピタゴラスに関する逸話の中には、実は後世に生み出されたものが混在しておるんじゃが…これは偉人の話にはよくあることじゃな。次はピタゴラスや古代ギリシアの人たちが「数」をどのように考えていたかという事を詳しく見てみよう!
チャプター
Step1 . ピタゴラスの定理と古代ギリシア
– ピタゴラスの定理とは
– ピタゴラスが活躍した古代ギリシア
– ピタゴラスとは何をした人?
Step2. ピタゴラスが分類した数
Step3. 小石の数理にチャレンジ
キャラクター紹介

ポゥじい
Pou-Ji
フクロウの博士。数学のことならなんでも知っているけど、ちょっぴりうっかり屋さん。口ぐせは「学ぶって最高に楽しいんじゃよ!」

スウカ
数花
数学が得意な中学生。しっかり者で好奇心旺盛。歴史の知識も豊富でクイズが得意。数学の謎を見つけると目をキラキラさせる。時々鋭い指摘をする。口ぐせは「うんうん、わかってきたかも!」

カズオ
数男
数学はちょっと苦手な中学生。最近数学の面白さに気づいて学び始めた。のんびりマイペース。じっくり考える力はピカイチ。口ぐせは「よくわかんないけど、なんかおもしろそう!」